薔薇と、冠と
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ただ、それだけだった。 それだけだった筈だった。 森を抜けて街に着いた時、最初にわたしは道具屋の壁にもたれかかった。 日頃運動なんてしない体を酷使しすぎたのだ。 疲れていたので、公園にでも行ってこのまま野宿かな、と考えていたところだった。 「っハァ…、えっとちょっと良いかな?」 やたら分厚い、眼鏡?のようなものを掛けた長身の男に話しかけられた。
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