薔薇と、冠と

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分厚い眼鏡のせいでこちら側からは全く目が見えない。 本人からも自由に周りが見えているかどうか疑問なところだ。 そして、男の後ろには桃色の髪の小柄で細身な女性。 ただその女性も異様なほど前髪が長く、瞳は男と大して変わらない状態だった。 …最近の流行りだろうか。 2人とも息切れをしていて、大分急いでいるようで早口で道を尋ねてきた。 だが正直、初めて街に出たわたしに道なんて分かるわけがない。 わたしに訊かれても──と言いかけたところだった。
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