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何時間たっただろうか。ひどく長い時間だったような気がする。でもそれでいて、ほんの少ししか時間が経っていない気がするから不思議だ。
辺りは消灯の時間になったのか薄暗くなっていた。
手術室に目を向けるとまだランプは赤く光っていた。
僕はそのランプの赤い光がまるで、両親や雪が流した血のように思えてすぐに目を背けた。
すると、目を背けると同時にランプの光が消えた。
そして、医者と看護師が手術室の扉を開け出てきた。
僕は医者の一人に襲いかかるように駆け寄った。
「あ、あの!! 両親と妹は‥‥」
助かったんですよね?医者の顔を見たらそれが言えなかった。
「‥‥‥残念ですが、ご家族の方は‥‥‥お亡くなりになられました‥‥‥‥。」
「嘘‥‥‥ですよね?」
嘘だと言ってくれ。いまならどんな嘘でも許してやるから。
しかし、僕の願いが叶うはずもなかった。
「残念ですが‥‥‥。」
「うぁ‥‥‥うぁああぁぁ!!」
涙が止まる事なく出てくる。世界が真っ暗なった。そんな気がした。
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