第1章

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しばらくすると滲んでいた景色もだんだんとはっきりしてきた。 僕は残った涙を拭き、帰る事にした。 「それじゃ‥‥また来年来るよ。」 僕はお墓を後にした。 僕は今祖父母の家を出て、アパートに暮らしている。 家賃と食費等はバイトで賄っている。父さん達の保険金も入ってはいるがあまりそれに甘えたくなかった。 帰り道、今朝通った道を帰っている。気温は30度を軽く超えているだろう。照りつける太陽の光が残り少ない体力を削っていく。 僕は今にも倒れそうな足取りでアパートを目覚ました。それから、5分程歩いたらアパートが見えてきた。 しかし、後少しでアパートに着くって所で異変が起きた。 ―――助け――助けて――――― 「‥‥‥えっ?」 今確かに声が聞こえたんだけど‥‥‥それに今の声は‥‥‥ ――――にゃー‥‥‥にゃー‥‥―――― 今度は猫の鳴き声が聞こえてきた。 僕が辺りを見てみると電柱の近くに段ボール箱が置いてあった。
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