第1章

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中を見てみると1匹の茶色い子猫が居た。 にゃー‥‥‥にゃー‥‥ 一目見ただけで弱っているのが良くわかった。僕は子猫を段ボールごと抱えてアパートに走って帰った。 アパートの部屋の中は夏の暑さでかなり室温が上がっていた。 僕は部屋の窓を全部開け風通しを良くし扇風機を回した。 そして台所に行き、少し深めの皿に少し冷たい水を入れて子猫に与えた。 子猫は水を見るなりぴちゃぴちゃと、勢いよく飲み始めた。 少しすると皿の中の水をほとんど飲みほしてしまった。よっぽど喉が渇いていたのだろう。 僕は水のお代わりを汲みに台所に向かった。 ――ありがと。 「えっ‥‥‥?」 またあの声だ。一体どこから‥‥‥。 僕が周りを見ても側にいるのは水を飲んで満足したのか、寝始めている子猫だけだ。 まさか‥‥‥ね。 頭に浮かんだ考えを僕はありえないと捨て、皿に水を汲み子猫の側に置いておいた。
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