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『天満正希です。突然の電話でごめん。
父さん…天満勤から、渉くんに手紙が届いてると思いますが、俺は渉くんの義理の兄です。
色々と伝えたいけど、とりあえず電話かメールをもらえますか?番号とアドレスは…』
運悪く留守電になってしまったその伝言を聞いた後、残されたアドレスにメールした。
返事はすぐに来た。
『連絡ありがとう。
渉くんを3人で待ってます。迎えに行けるかは分からないけど、きっと来てくれると信じてます。』
この短いメールを読んだ直後には、彼らの下に赴こうと考えられなかった。
あっさり過ぎる返事に戸惑ったのもあるが、やはり見知らぬ男女といきなり一つ屋根の下に暮らすのは、俺以外の人でも抵抗があるかと思う。
しかし、俺は現に彼らと共に生活すべく、そこへ向かう電車に乗っている。
それは何故か?
父の手紙には、実は続きがあった。メールを貰った後に気がついた。
最後の便箋、その裏側に書かれたそれを、再び見つめる。
『追伸。今住んでるマンションとは今度の3月いっぱいで契約が切れるからよろしく。次に住む人も決まってるみたいです。』
今読み直しても、乾いた笑いしか出ない。
いずれにしても、俺はこの家を出るしかないことが明らかになった。
そして、次に住む場所を探すにも少し時間が必要だ。
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