第一章

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それから毎日、ぶつかった奴は教室を覗きに来た。   ―なんだよあいつ、もしかしてまだあんときの気にしてんのか?     誰かに興味を持ったことのない、人のすることなんて関係ないと思っていた湯川だが、そのぶつかった奴のことは異常なくらい気になった。     ―そんな痛かったのか?俺は別に痛くなかったけど。   「なんだよ。」 湯川は先程から様子を伺っているそいつに言った。   「なんで、いつもそこにいるの?」   そいつは以外にも逃げも隠れもせず教室に入って来た。   「なんでって、好きだから、放課後のこの教室。」 湯川は聞かれたことに対して素直に答えた。だが、それが以外だとそいつは笑った。   「なんなんだよお前!急にぶつかったり、覗いてきたり笑ったり!」 湯川はなんだか分からないけど妙に恥ずかしくなりそいつに言った。   「お前、カワイイな。」 そいつはそう言って笑って湯川の近くの席に座った。
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