潜水

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「化現とは爾の 孕にこそ大事成るもの」と記す。 私は二十年間も 費やし此の歴史に埋もれた 真実を発掘した。 何故、生命の発生に擬う事のでき 犀利ある才が潰れる。 異に神経であり未来を予知した 最大の酒乱的超能力者。 即今、私は世界に多大な衝撃を 与えるであろう書物に 出会ってしまった。 其れこそ木戸菊丸という男が 生涯を費やし書き記した 渾身の一冊 「盲目的遺伝子計画説」だ。 そして其の中身や仄か。 私には全く理解できない。 木戸菊丸という人間は… 否、神経回路はどのように 生っているのか。 私の此の拙さでは とてもじゃないが感じれない。 名代逃しとは、 超主観的世界故の自業自得か? 一節に 「黯い据え膳とは私自身の神経」 と記されている。 其の意味は実に難しく易しい。 更には 「舞台は演技であり 鏡でもあると同時に 世界は形を破り記憶される」 一筋だけの光景を確認したくなく 彷徨う皮膚を投じたにすぎない。 私の幸福的主観とは 其れであり其れでない。 だが、常套目線で魅入った場合 邪魔な念により私は入水に着く。
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