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そして、彼は、背後からの気配に気付いた。黒装束の者達が、彼を追いかけていた。
相手もかなり速い。気を抜けばすぐに追い付かれる。
だが振り切る事も出来ない。
絶望の影が彼の頭をよぎった。
もう無理なのか?・・・
彼はそう思い始めた。
だがここで諦める訳にもいかない。息を切らし、彼は必死でこの場を切り抜ける妙案を頭から絞りだそうとした。
「あっ!!」
彼は自身の後頭部に、何かで押さえ付けられる感触を覚えた。
そのまま、うつ伏せに地面に押し付けられた。
「人間にしては、結構すばしっこかったな。」
「そっち押さえとけよ。」
黒装束―声の低さから、聞けば男のようだ。
「ツッ・・・」
無理矢理座らされても、彼は虚しい抵抗を続けていた。しかし、黒装束の男が彼の手をガッシリと掴んでいた。
「大人しくしろっての!」
「まあ・・・今しなくても、もうすぐ嫌でも大人しくなるだろう。」
「捕まえたようですね。」
別行動をしていた、もう1人のやんわり口調の男がこちらにやって来た。
捕らえられた彼は、その男を睨み付けた。
「[神]め!!この汚い手を退けさせろ!!」
「随分と・・・威勢のよろしい事ですね。」
「どうする?フォー。」
「殺っちまってもいいんじゃねーか?」
フォーと呼ばれた男は、フム・・・と考え込んだ。
彼はずっとフォーを睨んでいた。
「おっ、そうだ!!お前名は?」
「ジール・・・またお前は・・・」
「あっ?良いだろうが!こんな時代に生き残ってるような奴なんだからな。殺す前に聞いておきたいって気持ち、リゼ!お前にも分かるだろ?」
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