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そんなこんなでセッティングしてもらった合コン。
座る男の子はなんだか惜しい顔ばかり。
ちらりと沙織を見るとすぐに目をそらした。
あたしは小さくため息をついて"そこそこ彼氏だしね"と自分を納得させた。
そして顔をぐるりと見渡して数を数えてみる。
四人。
女友達は三人の計五人。
それに気づいて間もなく沙織が「一人足りなくない?」とそこそこ彼氏こと東雲紫乃に聞いた。
「あー…如月って奴が来るはずなんだけど…」
「そ。」
沙織のさっぱりした返事で会話が終わり、一瞬静かになったが惜しい顔の一人が「自己紹介しよ」と張り切って切り出すと一人ずつ自己紹介を回す。
一人一人挨拶をしてそのたびに小さな会話を交わして、大した盛り上がりもなく自己紹介が終わった。
それから思い思いの人と自然と話し始める。
…あたしだけ話し相手がいない。
あたしが頼んだ合コンであたしの話し相手がいないとか…笑える。
帰りたいな怒られるかな…?
しばらくそんなことを思いながらボーっと過ごして、意識を別の世界へとばす。
その時ファミレスの扉が開いて、綺麗な男の人が入ってきた。
その人がチラリとこちらに目をやる。
ばっちりと合ってしまった目線が気まずくて目をそらせない…
「あ!如月、こっち」
紫乃が手を挙げてこちらに手招きすると、その姿を呆然と見るあたしを含む女友達。
無言で近づいてくる彼。
あたしの隣しか席が空いてなくて彼は隣に座った。
「如月、遅いじゃんか自己紹介して」
紫乃は普通に彼と会話している。
「…如月です」
彼がつぶやくと、女友達計三人が息をのむのがわかった。
わきゃわきゃと一気にテンションのあがった女友達。
…あたしは彼から発せられた不機嫌オーラのおかげで動けずにいる。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い…
なんだかすっごい不機嫌何ですが…?
あたしなにかしました?
「あの…」
声を発するとチラリとあたしの方をみて「トイレいかない?」とにっこり微笑まれた。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い…
笑顔なのに怖いよこの人!!
あたしはこくこくと頷いて立ち上がった。
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