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「沙織、お手洗い行ってくるね」
「あ、うん」
沙織があたしの後に付いてくる人物に怪しく笑った。あたしは微塵も気づかずお手洗いのスペースまで移動した。
「…なんなんですか?」
周りに友達がいなくなるとふとにこにこした笑顔が消えた。
「あんたどうせ暇でしょ?
俺帰りたいから抜けよ」
「ちょ、そんな自分勝手なこといわれても…!」
彼はあたしの抵抗に聞く耳を持たずにぐいぐいと手を引いてファミレスの扉を開いた。
「離してよ!!ちょ、嫌だって」
沙織とそこそこ彼氏に組んでもらった合コンなのに…
合コンのメンツといい、この災難といい…
泣きたいのをぐっと耐えて、ずるずると引きずられるように歩いた。
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