~ボクたちは…~

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  最終兵器彼女 原作;高橋しん 著;草薙彼方 第一章 スタートライン 「シュウちゃんっ!待って!」 どこまでも続く長い『地獄坂』の半分辺りまで来たときに、ボクの背後から声が聞こえた。 「はあっ……」 ボクは足を止め振り返った。そこにいるのは…… 「シュウちゃん…は、はやいよ……」 「おめえが遅えんだよ」 「ご、ごめんなさい……」 こいつの名前は“ちせ”。ドジで、泣き虫で、すぐ転ぶやつで、口癖は「ごめんなさい」。成績は中の下。世界史だけが得意だが、何の得にもならない事は本人が一番よく分かっている……そして、ボクの大切な【彼女】である。 「い、いや……いーんだけどさ……」 「ごめんね。これでも、前よりは鍛えられたハズなんだけど……」 ちせは肩で息をしながら言った。 「ちせ……それ、あんまり笑えねえんだけど……」 「あっ…ご、ごめんね……?」 ちせは、たくさんの人を殺してきた…この傷はちせの心から決して消える事はないだろう………だけど、あれだけ兵器として戦い続けてきたのだから、少しぐらい体力が上がってもいいものなのだが、あまりというか、全然兵器になる前と変わっていないというのもどうなんだろうな…… 「こらっ!シュウジ!!」 ゴンッ 「痛っ!?」 突然頭に鈍い衝撃が走った。 「あんたねぇ…またちせを泣かしてたでしょう!」 この声は…… 「なにすんだよ!?アケミ」 痛みが残る頭を右手で押さえながら、背後に立っている人物を睨みつけた。 「朝っぱらから、ちせを泣かしてたあんたが悪いんでしょう?」 こいつの名前は“アケミ”。ちせとボクの幼なじみで、クラスメイトでもある。 「泣かせてねえって…ただ……」 「ただ?なによ?」 「ただ……な、なんでもねえよ!!」 「はあ……ちせ。あんたさ、今更だけどこんな奴と付き合ってよかったの?」 「う、うん。シュウちゃん、本当は凄い優しいんだよ」 おお…さすがちせだな。「……ちょっとコワイ時もあるけど」 おいっ!
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