祖父の記憶

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 じいちゃんの性格を一言でいうと短気だ。そして几帳面で気難しい。やることなすこと大雑把な性格のばあちゃんをいつも叱りつけていた。  厳格な父親を持ったその息子は不思議なことに性格がまったく正反対に思えた。僕の尊敬する父は温和で頭脳明晰で実直な人間だが、不器用で自分独りじゃ何もできないお坊っちゃまでもあった。  しかし、その更に息子である僕の性格はというと、短気で几帳面で気難しい。これは自分も自覚していたことだが、じいちゃんとその孫である僕はよく似ていた。そのことは僕とじいちゃんの特別な関係を築いてきた要因のひとつなのかもしれない。  そしてなにより僕はじいちゃんが大好きだった。
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