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久々に、人間の体温が私を包んだ。小春日和の日向みたいな、原っぱに寝ころんでまどろみたくなる温度。
「寒かっただろ?」
暖かさに気を取られ返事もしないことを、肯定と受け取ったのだろう。
「うちにおいで。このままじゃ風邪引くから」
男はそう続けて、また太陽みたいに笑った。私は無遠慮に触れてくる相手に爪を立てることも忘れ、抵抗することへの諦めか、優しさへの期待か、とりあえず彼に全てをゆだねた。
なんだかもう、一人にも疲れていたんだと思う。優しさに、飢えていたのかもしれない。
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