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彼と私の生活の香りがする部屋から、去ると決めた。
でも、恋しさが私の足を重くして、立ち去る時間を引き延ばしていた。
温もりを知ってしまった私は、以前より弱くなったのかもしれない。独りで生きる術を、忘れているかもしれない。
手放す勇気が、なかなかわいてこなかった。
だけど、見上げた時計は彼が帰って来る時間に向かって走り続けていて、私を待ってはくれない。
さあ、行こう。
もし私が彼の元に帰ってくることがあったとすれば、彼がまた私を抱き上げてくれる時が来たとしたら、その時の私はもう少し素直になれてるだろうか。
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