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タロウの家にはいかないまま数日が過ぎた。
オレはなんとも言えない気持ちを持っていて、狩りもまったくうまくいかない。
何匹目かのスズメを追いかけて塀にジャンプ。
が、ものの見事に失敗してずり落ちてしまった。
―アハハハハハ!
急にタロウの笑い声を思い出して腹が立ってくる。
あいつの家にいたせいで狩りをしても成功しない。
ばあちゃんちの寝床もなかなか寝なれない。
タマって言われると変な気分がする。
気がついたらオレはタロウの家の…あの出ていった窓の前に座っていた。
なんてことだ…
自分でアイツの家に戻ってくるなんて…
アイツはオレが嫌がるのに図々しく触ってくるし、笑うし、寂しい気持ちにもさせるし、オレより犬のがいいとかいうとんでもないやつなのに!
アイツは、オレにとってきっと一番やっかいなやつだ…一匹で生きていくオレには………
立ち上がって窓に背を向けても、なかなかそこから動く気にならない。
…………
………………
……………………
こら!オレが行く前にこの窓開けろ!!
いつまでたっても空く様子のない窓。
いつもいつも来なくていいときまで寄ってくるくせに…
窓から部屋を覗いてみても、タロウはいない。
ポツ…ポツ…
雨だ。最悪だ………
これじゃぁばあちゃんちにも行けない。
仕方ない…待っててやるから早く帰ってこい。
「あれ?コタロウ!!」
ガラガラと勢い良く扉が開いたのは其からすぐだった。
ボサボサの頭…
寝てたのか!!
タロウのくせに!オレをこんな寒いとこ待たせやがって!
「寒いだろう、おいで」
抱き上げられて部屋に入れられた。
オレはいつも見たいにパンチを繰り出して逃げると自分の寝床へ走った。
フカフカのクッションに体を落ちつけると驚くほど安心してた。
「いたた…久しぶりなのにひどいなぁ…」
「お帰り、コタロウ」
目の前でニコニコ笑うとオレの鼻先をつついてきた。
一匹で生きていくはずなのに…
ホントなんてことしてくれるんだこいつは………
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