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オレは生まれた時から一匹。
あ、嘘だ。生まれた時は3匹いた。
茶色いのと、しろいのと、黒いのと…ちなみにオレはその中のしろいのだけど…
茶色いのは人間の子供に連れていかれた。突然の別れだった。
黒いのは大きな塊に潰されてしまった。
これまた突然の別れだった。
あぁ…でもそうでもないかな、黒いのの時は何も言えなかったけど、茶色いのの時は「サヨウナラ」と挨拶した気がす。
しばらく黒いのの近くにいて話かけていたけど返事もなく、腹もすいてきたからオレも黒いのに「サヨウナラ」をして一匹での人生を歩み始めた。
それからオレは大人になって色々学んだ。
駅前の魚屋は辺りがオレンジになると残り物をくれる。
公園に行くとワルガキに石を投げられるから近づいちゃいけない。でも夏場の夜はコンクリートが冷たくて気持ち良い。
あの黒いのを潰した塊は車というらしい。オレ達には到底敵う相手じゃない。ちなみに車も人間のものらしい。
人間は突然色んな物を奪う。嫌いだけど、魚屋のおっちゃんとコンビニのナナコと魚屋の横の家にいるばあちゃんは好きだ。ごはんくれるから。
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