タロウ

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オレの1日の日課は朝起きてばぁちゃんちへ行く。 ごはんを食べたら散歩だ。 適当な場所で昼寝をして、また散歩。少し涼しくなったらコンビニへ。ナナコが弁当の唐揚げをくれる。 また散歩して、昼寝して…たまに狩りをしたり…最後は魚屋へいってごはんを食べて、公園で寝る。 こんな悠々自適なオレの生活が一変したのは8月の2回目の散歩の時だった。 いつもは車なんて通らない道を歩いていたら、急に車が飛び出してきた。 ―ドッ と鈍い音。 痛いとかより、あぁ黒いのと同じになってしまったなぁとか呑気に考えていた。 バタバタと足音が聞こえる。 車から降りてきた人間がオレを持ち上げたところで、オレの視界は暗くなった。 次に目が覚めると後ろ足がちぎれるんじゃないかってくらい痛かった。 いや、いっそ体についてるから痛いんだ。取ってくれと思うくらい痛い。 オレは黒いのと同じにはなっていなかった。生きている。 目の前にばあちゃんがよくくれるごはんとミルクが置いてあるけど、到底食べる気は起きない。痛いんだ。 後ろ足には白い布が巻かれている。布にしては分厚くて堅いけど… オレはダンボールにしかれたタオルの上に寝ていた。 嗅いだ事のないにおいに警戒して耳をすまして辺りを見渡す。 「あ、起きた」 声がしてフゥっと唸ると目の前にヌッと人間が現れた。茶色い髪の毛の若い男だ。 「ゴメン。僕が君を跳ねてしまったんだ」 深々と頭を下げる男は、どうやら車の持ち主らしい。 急に頭を撫でられて驚いてパンチを繰り出すと男は口を尖らせて 「ひどいなぁ」 と呟いた。 ひどいのはどっちだ。
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