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「……やっと起きたか。シキ」
「え?兄さま?」
僕……
「着いて早々喚き散らしたと思ったら、卒倒なんて…。お前はどこまで騒々しいの」
「ぁ!ごめんなさっ…」
ほんと僕何やって……
「大体、初対面の人に失礼と……」
「まぁ、まぁ、止そうよ。総一郎」
「?」
「いや、なんつーかさ、あたしも偉そうなこと言えないけど。卒倒するくらいだし、この子にとってはよっぽどのことがあるんだろ?誰でもさ、心に触られたくない痛いもんの一つや二つあるだろうし、そう煩く言ってやるな」
「……」
「……美影に言われなくてもわかってる」
兄さまも僕も、その場にいた虎次も、なんとなく黙って彼女を見つめてて、
兄さまが声を発するまで、少し時間がかかった。
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