〔1巻〕コメディー

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ある日、私は些細な嘘をついた。 『武志、子供ができたみたい』 武志は驚いた。 『えっ?』 そういえば武志は昔、将来子供ができるなら男の子がええなぁって言ってたな。 『男の子やってさ』 できたばっかりで性別なんて分かるわけがないのに武志は飛び起きて聞いてきた。 『マジ?』 何に対しての[マジ?]やろ? 子供ができた事やろか? 子供が男って事やろか? どっちも嘘やからそんな事はどっちでもええか、と思って武志に即答した。 『マジ!』 武志は無言で私を見つめている。 何?その普通に開いた目は…何考えてるか分からんやん…。 もうボチボチ嘘って言ってあげよか… 『困ってるん?』 あぁぁぁ、ちょっとドラマみたいな雰囲気に酔ってしまって演技続けてしもた。 何も答えんとこんな雰囲気を作った武志のせいやな。 また無言かと思ったら武志は少し早口で… 『困ってないよ、順番は逆になってしまったけど結婚しよう』 と言ってくれた。 ありがちなセリフやな。 もしかしてそれをプロポーズにする気やろか? とりあえず念願の結婚にありつけたわけやしええか。 こうして私(千代)と武志は急遽、結婚する事になりました。 まだお互いの両親には挨拶もしてないけど、新婚旅行も兼ねて海外で二人きりの式を挙げようって話しになった。 あぁ、武志はちょっとした誤解をしたままやったな。 忘れるとこやった。 新婚旅行でホントに子供つくったらえやろ。 ハネムンベイビーってヤツやな。 男の子ができたって言って信じた武志や、日にちが少々ズレても気づかんやろ。 できんかったら…旅行から帰って来て嘘やったって言ったらええか。 今、言って喧嘩になったら旅行楽しくないもんな。 うん、うん。
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