〔1巻〕コメディー

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明日からグァムや。 青い海、晴れ渡る空。 あぁ、千代と武志は結ばれるんやな。 私は妄想に浸りながら旅行の準備をしてた。 ギリギリになって準備する性格は直らんな。 くふっ、くふっ。 顔がにやけてしゃあないわ。 今、私より幸せな人っておるんやろか? これが幸せ過ぎて恐いってヤツ? マリッジブルーなんて噂だけやな。 だって幸せやもん。 あ…パンツ… やっぱりレースの白やろか? ハネムンベイビーの為には激しくスケスケの赤とか? 武志、好きな色赤って言ってたしな。 私って尽くす女やったんやな。 初夜は赤にしよ。 準備しただけで夜になってしもた。 楽しい一日やったな。 やっぱりあのメインイベントはやらないかんやろか? 家族で最後の夕飯を食べて私は姿勢を正して 『お父さん…お母さん…23年間お世話になりました』 感動で涙が出ると言うよりは、こっぱずかし過ぎて半笑いやった。 ふざけたわけではないんやけど。 でも両親は目に涙ためながら 『武志さんと新しい生活のスタートやな、明日も気を付けて行っといで』 と言った。 親とはそうゆうものなのだろうか。 ちょっと感動。 お父さん、お母さん、ありがとう、千代幸せになる。 照れ臭いイベントが終わって武志に電話する。 『武志、明日6時に空港やで、遅れんといてよ』 『おう、千代も遅れんなよ』 『武志…』 『何や?』 『私、幸せ』 『よくそんな恥ずかしいセリフいえるな(笑)』 『もう、武志も言って』 『幸せやで(笑)』 バカップルトーク終了。 武志…私、赤いパンツ持って行くよ。 グァムで武志はもっと幸せになるんやな。 私はその後、グァムのパンフレット3時間くらい眺めた。 パンフレットはもうクシャクシャだった。 妄想、妄想。
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