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『それ、s&cの新作モデルのストラップじゃん。』
「……へ?」
声のする方を見た。
『そのストラップ。今度発売される新作だよ。』
隣の席の若林和樹君だった。
若林君はバスケ部エースでかなり女子にモテるらしい。
まあ、私はあんまり興味ないんだけどね。
ストラップのイルカの背中を見てみると、小さくs&cと書いてあった。
「本当だ。」
s&cっていうのは今、女子高生から大人の女性にまで大人気のブランド。
前、REIと一緒に撮影をした時のお店もここだった。
女子高生が手を出せる安いものから大人の女性が欲しがるような高級感あふれたものまで多くのものを取り扱っている。
そんな女物のブランドをよく若林君が知ってるな。
「俺の親なんだ。」
「何が?」
「そのブランドのデザイナー。」
「そうなんだ。…って、えぇ!?」
若林君が顔色一つ変えずにそんなことを言うからかなり驚いた。
この大人気のs&cのデザイナーの子供がこんな近くにいることにただただびっくりした。
「びっくりしてるのは俺の方なんだけどね。」
「へ?」
意味深な言葉を返してきた若林君。
何故、若林君が驚くのか意味が分からなかった。
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