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「……何、どうしたの?」 「………ん~?」 「最近、元気ない。」 「そんなことないよ。」 「そんなことある。」 「ない。」 「ある。」 「な・い。」 「あ・る。」 隣の席の若林君と討論中。 最近、何故か仲良くなってクールだと思っていたけれど、意外にノリの良い今時の男の子だって分かった。 それから若林君とも打ち解けてきて 今じゃ、漫才のような会話を毎日するようになった。 「何かあったんだろ?」 「だから無いからさ、気にしないでよ。」 「彼氏と何かあったの?」 「・・・。」 「図星か。」 かれ、し だったら良かったのに。 会いたかったら会いたいってメール出来たのに そばにいてほしいときにいてくれるのに。 最近会わない日が続いて気がついた。 あんな俺様な樹さんだったけれど わがままで自己中で私が苦手な要素を持ち合わしている彼だけど それに負けないくらいの優しさや笑顔を持っていた。 惚れてたんだ。 あの笑顔に あのしぐさに あの優しさに REIじゃなく、樹さんに。 成岡樹という男性に。 .
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