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夏休み前の日ということもあり、授業は午前中だけでどこの部活も休み。
いつも部活で忙しい人達も今日は早く帰れるのだと喜んでいた。
若林君もその中の一人。
「若林君、何処行くの?」
「さあ?」
「さあ?って…」
玄関を出て若林君に聞いてみた。
「俺、和樹。」
「は?」
「俺の名前。若林和樹。」
「知ってる。」
「んなこと分かってるよ。」
・・・・・。
話が全く噛み合ってないんですけれど。
「何が言いたいわけ?若…」
「それ。」
「へ?」
「だから!和樹って呼べって言ってんの。」
「あぁ!」
若林君が言いたかったのはそのことだったのか。
目もあわせない若林君。
気付かなかった自分がなんだか恥ずかしい。
「…和樹」
「何。」
「かずき」
「だから何。」
「か~ず~き!」
「お前うざいよ。」
「あはは!何か変な感じだね。」
『春菜。』
久々に聞いた懐かしい声。
久々に見た大きな黒い車。
そこにいたのは
「…樹さん。」
そしてもう一人。
木村瑞希ちゃんだった。
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