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「樹さん…。」 「お前は、何やってんの」 「あだっ」 ピンッとデコピンをされる。 タオルを頭に乗せてタンクトップに半ズボンのすごくラフな格好で戻ってきた樹さん。 いつも気にしていなかったから分からなかった。 私、しっかり樹さんをしっかり見ていなかったんだ。 そこから露になってる樹さんの手足は涼さんが言ったように男の人特有の骨のごつごつした感じではなく、女の子のように華奢で。 私なんかよりも細くて長い手足。 サラサラして細い髪の毛。 長い睫毛に大きな目。 女モデルやってても全然バレないのが当たり前かななんて思ってしまうほど完璧で惚れ込んでしまう。 でも、今の樹さんはあと長くて一年しかもたない。 REIという女モデルは期限付きの女モデルになってしまったんだ。 「……えっ、ちょちょっと!何で泣くんだよ?」 「んぇ?!」 .
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