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何でだろ?勝手に涙が出てくる。
この涙の意味は何……?
「……っ、泣いてないです!」
「いやいや、泣いてるだろ!」
「泣いてない!」
「泣いてるって!何だよ、どうした?涼に何かされたのか?」
「するか、馬鹿が。樹、俺仕事あるから帰る。」
「あ、おい涼!」
樹さんの呼ぶ声を聞かず、涼さんは帰っていった。
あーあ。情けない。
泣きたいのは私じゃないのに。
本当に泣きたいのは樹さんだ。
成長するのは良いことなのに
成長することで今やってる仕事が出来なくなる。
そんな辛いことなんて…
「とりあえず泣き止め。」
樹に肩を抱かれてソファに座らされた私。
いつの間にか泣いてしまって樹さんを困らせてしまった。
何がしたいんだろ、私。
「泣いてないですから大丈夫です。」
「強がんな、あほ。」
「あ、あほ…?」
ぼすっ。
「お前、まじ抱き心地良い。」
本日二回目のハグ。
心拍数3倍速。
泣くな泣くな~。なんて言いながら小さい子をなだめるように私の頭を撫でてる樹さん。
一見俺様で、わがままだけどやっぱり樹さんは優しくてあったかい人なんだ。
「樹さん、意外と優しいんですね」
「…意外とだあ?俺様はいつどこでも誰にでも優しいんだよ!」
「もう大丈夫なんで。」
樹さんの胸板をおして離れようとすると、がっと引き寄せられ、再び抱き締められる。
ぎゅうっと強く。
「本当はこのまま押し倒して襲ってやりたいんだけどね」
・・・・・。
「……樹さん、前言撤回させてください。」
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