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―――――― ―――― ――― 「…………」 消毒の匂いは嫌いだ。 真っ白なベッドもこの静けさも。 皆の鼻をすする音も泣き声も。 お前だって、……大嫌いだ。 「起きろよ、玲。」 彼女は眠っている、とても静かに。 「寝てる時間あるならウォーキングの練習でもしろよ。お前歩き方変なんだからさ。」 憎まれ口を叩いても表情一つ変えない。 「お前の人生これからだろ。」 冷たい頬に触れる。傷一つ無い綺麗な顔。 さっきと何の変わりだって無いのに。 なのに、なのになのに……! .
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