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「玲がそのオーディションに受かる前に言ってたんだ。 『樹は無駄にスタイルよくて無駄に顔もかっこいいんだから、樹こそモデルになればいいのに!』ってさ。 だから。 俺が玲の叶えられなかった夢を叶えようと思ったんだ。」 REIっていう名前の裏にはそんな深い意味があったことを初めて知った。 「でも、俺は本当はちゃんとした男のモデルになろうと思ってたのに 社長が書類不備に気付かずに書類送っちゃってそれで何故かちゃっかり合格しちゃったわけ。 社長も変にやる気になっちゃって『お前顔女っぽい顔だから大丈夫だ!』とか言ってそのまま何も言わずに話進めちゃうし。 ま、それで今やモデル業界トップのREIが出来上がったっていう面白いオチつきなんだけどね、この話。」 あはは、と笑っている樹さん。 無理して笑っているということなんてすぐにわかった。 樹さんは優しい人だと知っているから。 こんなに玲さんを想っていた樹さん。 私の中にある疑問が浮かんだ。 樹さんのその強く想っていた気持ちは 幼馴染みだから? それとも 玲さんのことが好きだったから? .
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