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1.part
終業のベルが鳴り響き、生徒達がおもむろに帰って行く放課後の学校。
「碧(ミドリ)、早く帰ろう?」
碧と呼ばれた少女は、声のした方を振り返った。
そこに立っているのは、右目から蒼い瞳を覗かせた、黒髪の少女だ。
そう、この子が物語の主人公。
親友を見て、微笑んでいる。
「待ってよ、澪香(レイカ)~。教科書バラまいた時に定期無くしちゃったみたいなの~。」
対して、碧と呼ばれた少女は栗色の髪を肩ぐらいまで伸ばし、綺麗な栗色の瞳をしている。
髪に、緑色のカチューシャをつけているのが特徴的だ。
「今日は定期?昨日は宿題のプリントだったよね?一昨日はお気に入りのシャーペンだったし。」
「ぅ…。」
そぅ、碧はよく無くし物をする。
しかも、気付くのは決まって放課後なのだ。
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