―夢ノ始マリ―

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毎日、違うクラスの澪香が教室を出て帰る前に、必ず声を掛けなくてはいけなかった。 「ねぇ、さっきから筆入れの下に定期入れっぽいのが下敷きにされているのに、気付いてないの…?」 「え?…あ、本当だ。」 しかも決まって澪香が先に見つける。 昨日のプリントは鞄のサイドポケット。一昨日のシャーペンは本人の胸ポケットにあった。 「ってか気付かないの?。何回も見てるはずなのに。」 「そうだね~。ゴメンゴメン。」 笑いながら、教科書を片し始める。 携帯を見ると…。 あと三分で電車が来る。 次の電車までは一時間半。 「また今日も遅い方か…。はぁ…。」 澪香の嘆息に、諦めが混じりながら、消えていった。 結局、その日も何時もと同じ電車に乗って帰った。 そんな日常が壊れたのは…。 その次の日だった…。
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