零章

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光が晴れていく・・ 一人と一体らしき影がボンヤリ姿を現す 地面を見ると、おびただしい量の血が、絨毯のように、一人と一体を中心に広がっていた 「ゆ、勇者様ぁー!?・・・・?」 違う声の主はようやく見えるようになった瞳で目を凝らしながら、大声で叫ぶ 一人の声も一体の声も何も聞こえない 静寂の中、光が晴れる 交わった一人と一体・・このおびただしく流された血の主は・・・・ 『ギガァァァーーーーーーー!!』 「ガフッ・・グゥ~・・・・」 赤く、深紅に染まる巨大で鋭い爪 そこから滴るものは、間違いなく血! 一人の身体に深々と刺さり、そして貫かれた爪 その血の主は一人のものだった ドサッ! 乱暴に振られた巨大な爪から、無造作に、無機質に地面に叩きつけられる一人だった個体 「そ、そんな・・イ、イヤだ・・ゆぅしゃぁさまぁーー!!」 違う声の主の悲痛の叫びが虚しくそこに響く 『ギィガァァァーーーー!!』 また地を揺らすほどの雄叫びをあげる巨大ななにか これで世界は闇のも・・ パチン! 指を鳴らす音が響き、すべてが止まった 『あ~ぁ、Game Overだ!ハハハッ♪』 また違う声が聞こえてくる 『ハァー、なかなかクリア出来ないなぁ!くそぉ、悔しいなぁ・・・・ さっ、次の候補を探そうっと♪あー、忙しい忙しい!ハハハーッ・・』 笑い声を響かせながら、その誰かは闇の中に消えていった 残ったものは静止した世界 ここはどこかの国・・ どこかの世界・・・・
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