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「たっだいま~♪」
あたしは家の扉を開けると陽気に言った
「おかえりなさい」
お母さんが笑顔で迎え入れてくれた
「ねぇねぇ!!今日のご飯なにー?」
あたしが台所に行きながら言った
「葉月の好きなハンバーグよ」
お母さんの返事を聞いてあたしは微笑んだ
「やったぁ~♪大好き」
嘘。
あたしはハンバーグ好きじゃない
嫌いでもないけど…
でもお母さんはそうだと思い込んでいる
「あたし、部屋にいるから出来たら呼んでねー」
そう言ってあたしは自室に行く
部屋に入り扉を閉めて、ため息をした
「ふぅー。疲れる」
あたしは荷物を投げ出し、ベットに倒れ込んだ
あたしは“葉月”であって“葉月”じゃない
お母さんの知っている葉月とあたしは別の人
あたしはお母さんから産まれた桐生 葉月ではない
それを知っているのはあたしだけ
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