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此処は有名な進学校。
今は午後の授業の最中で、校舎の中は外から聞こえる体育の声と教師の授業を進める声だけが響いていた。
暫くすると、校舎に学校特有の鐘の音が響く。
授業の終了を知らせる鐘だ。
教師が教室から出ていくと教室がざわめき始める。
友人の元へ向かう者、次の授業の準備をする者と様々だ。
柳崎圭吾は、後者の人間だった。
成績優秀、未来有望。
そんな言葉ばかりが並ぶが、周りからはどこか敬遠されがちだった。
性格に問題があるわけではないが、時折見せる表情はどこか冷たく人を寄せ付けない雰囲気を醸し出していた。
窓側に位置する圭吾の席の周りだけ、どこと無く空気が冷たかった。
当の本人はそんな事を気にする様子はなく、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
圭吾が眺めた先には、校庭の隅を歩く黒猫の姿があった。
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