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(……なんで猫が…?)
最近は物騒だからと、ついこの間教師が警備を厳重にしたと言っていたばかりだ。
例え猫でも入って悠々と校庭を歩けるわけがない。
ところが、その猫を追い出そうという人間も居ない。
圭吾はその猫が気になり暫く見ていたが、予鈴が鳴ったので校庭から目を逸らし教師を待つことにした。
全ての授業が終わり、部活を行う者以外は帰路へ着く時間。
圭吾は、学校の塀の上に座る猫を見つめていた。
「………お前、なんで居るの」
「ニャー」
猫は一声鳴くとフイ、と顔を背けた。
圭吾はあまりいい気がしない、と暫く猫を見つめていたが不意に後ろから声がかけられた。
「柳崎、何をしているんだ?」
「………先生」
「早く帰って勉強をしなさい」
圭吾に声をかけたのは圭吾の担任教師だった。
圭吾は教師を確認をすると目を細め静かに答えた。
「猫が、居たんです」
「猫?そんなもの何処に居るんだ」
圭吾が慌てて振り返るとそこには猫などおらず、ただ塀が続いていた。
「猫が入ってこれるわけないだろう、勉強のし過ぎで疲れているんだ。柳崎は期待の星だからな。今日はゆっくり休みなさい」
教師はそれだけ言うと校舎へ戻っていった。
圭吾は暫くその場に居たが、猫の居た場所を一瞥すると帰路に着いた。
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