閉ざされた心

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それからというもの、圭吾の前に猫は何度も現れた。 学校だけでなく、登下校の途中や家まで見るようになっていた。 「……お前、本当になんなんだ?」 「ニャー」 圭吾が話し掛けても猫は鳴くだけ。 だが前と違うのは、今では猫を撫でたりたまに餌を与えるようになったという事だ。 「……本当に、お前が連れて行ってくれればいいのにな」 圭吾が呟くと猫は目を細めてするりと圭吾の手から擦り抜けまたどこかへと行ってしまった。 圭吾ももう、今年で三年生。 自然と周りには受験の話が上がるようになっていた。 圭吾はその周りの空気にどこと無く焦りを感じていた。 別に、志望校が決まっていないとか、進学出来るか危うい学校なわけでもない。 ただ、このままでいいものかという考えが頭に引っ掛かっていた。 (……本当に、このままで…) 用意された学校に、言われたように入る。 今までその通りにしてきた。 だが今、それに抵抗を感じつつある。 圭吾は、猫が去っていった方をぼんやりと見つめた。 .
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