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途中僕達は、吉野家で昼食を挟んで再び車に乗り込んだ。出発してから二時間近く経過している。笹倉が出発したばかりと聞いて、こっちは少し気を抜いていた。 「なぁなぁなんか聞きたい曲あるか?」 石井が車にipodを繋ながら、後部座席を振り返った。僕と和久井はうーんっと唸るだけだった。 「やっぱりドライブやねんからテンション上がるやつかけてよ」 高井が前を向いたまま答える。その言葉に石井はニヤリと口角を上げる。何かたくらんでいるのが、すぐにわかった。 彼は慣れた手つきでipodを弄くり、曲を探している。車のスピーカーを通じて流れてきたイントロは場所が悪いのか、スピーカーの調子が悪いのか、雑なメロディーを奏でていた。 「なんやこれ?」 僕は思わず口にしていた。 「変なの書けんといてよ!ロックやね?爽やかな気分ならへんし」 高井が口を尖らせる。和久井も不快感を顔全面に出していた。 「自殺したくなるやろ?ニルバーナの曲やねんけど、コバーンの生涯がこの曲全面に押し出されてるみたいやわ。世間の評価と自分自身のギャップ。相当苦しんだはずやで」 流れてくる曲はニルバーナのものだった。僕はあまり詳しくないから曲名までは、わからないがボーカルの悲痛な叫びがスピーカーを通して伝わってくる。胸が痛くなった。 「もうどうでもええからはよ曲変えてよ。運転集中出来ひんやん」 高井の主張が通ったのか、石井はまたipodを弄り初めて、次の曲に移った。
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