8人が本棚に入れています
本棚に追加
「ハロー?あぁ今出たとこなんや、ハハッ。オッケイ、オッケイ。こっちも適当に時間合わして行っとくわ。じゃあねぇ」
石井が助手席で携帯をポケットに閉まったのと同時に、僕は後部座席から身を乗り出して尋ねた。
「笹倉から?」
「おう、今レンタカー借りて出たとこやって。っていうかホンマ西川の奴やりよるなぁ」
「あぁ、アイツはなぁ……」
調子良さげな石井に対して、車の中のテンションはいまいち良くない。特に女性陣二人。目的地とメンバー、西川のせいでもある。
大学卒業を控えるだけとなった四回生の学生生活。最後の記念としてゼミ旅行というものが、ゼミ長、つまり石井の口から提案された。
目的地に関してはゼミの女メンバー二人が、色々と提案したにもかかわらず全て石井が却下した。そして、決まった目的地というのが大阪府貝塚市にある二色浜。
もろに地元である。ゼミメンバー全員が兵庫県か大阪府にもかかわらず、何故か旅行で近場になってしまった。ゼミメンバーが猛反対したが、受け入れるわけがなく。
彼の理由としては、遠いのはめんどくさい、ビーチバレーがしたいの以上だった。女性陣がこんな舐めた理由にもかかわらず、この場にいることがまたまた摩訶不思議でもある。
大学の英文科の余りものから集結したゼミメンバーのため出来は良くないのが現状だ。男女合わして六人で、うち二人が女性。二人も変わり者と呼んでも過言ではない。
最初のコメントを投稿しよう!