アザミの告白

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そのニュースに寄ると、昨日の昼あたりからマネージャーとの連絡が途絶え、携帯にも繋がらないようだった。そして、昨日生放送の音楽番組の出演が決まっていたにもかかわらず、ドタキャン。

その生放送番組は関西圏なため、近くにいるのではないかと捜索願いが出され、警察も動いているようだ。

あまりテレビに出ないことで有名な瀬戸口明日香。昨日が初の生放送番組であったために期待した視聴者を裏切っての行為が大きな波紋を呼んでいる。

ニュースの途中で瀬戸口明日香の写真が掲載された。そのどれもが赤いハットを被っている写真で、顔がパッとしない。印象が残らないと言う方が正しい。

「ヤバいことなってるね。ドタキャンは酷いな」

高井が渋い顔をして言う。ちょうど信号が赤になり力を抜き、彼女はハンドルから手を離し、ニュースに夢中になっていた。

まだ目的地に到達するには、遠そうである。未だに大阪の中心から動いていない気がする。

「へぇ、ドタキャンとか西川も上手い二番煎じするなぁ。アイツこれにインスパイアされたんちゃうか？」

「インスパイアって。さっきからやたら英語使うな、石井は。やっぱり去年のあれが利いてんの？」

僕が尋ねると石井は自慢げに微笑んだ。

「あれってなに？」

和久井が不思議そうに目を丸くする。

彼は依然にアメリカ留学をしたことがあるのだ。しかし、これといって英語が得意なわけでなく、遊んでたようだ。彼の話からは遊びの話しか語られない。