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依然と石井がアメリカ自慢をしている。内容は、本場ディズニーランドの話に移っていた。彼はその日の前の晩に友達と飲み明かして、ディズニーランドでは何も乗れなかったらしい……。
本当に馬鹿だと思う。
そう言えば……と僕は窓から、外の景色を見渡した。周りは車の多い車道からは離れて、いつの間にか住宅街に来ていた。僕がキョロキョロと慌てふためいていると、和久井が声を掛けてきた。
「なんか違うよね……」
「うん……」
コソコソと和久井と一言二言話しながら、ルームミラーに視線を移すと、高井がその視線に気付いてギクッとした表情をした。まさか……っとは思ったがそのまさかだった。
「……アハハハ。道外れてもうたし。ごめん!ちょっとボッーっとしとったわ」
高井がぎごちない笑みを口元に浮かべる。その一言に石井が何も口出ししないはずがなく、彼は言い放った。
「お前!何やってんねん。ドライバー失格やな」
「アンタがナビ消すからやんか。それでわからんようなってんやん」
確かにっと僕は思った。
前のテレビは付いたままで、ニュースから昼ドラマに内容は変わっていた。
「まぁまぁ……とりあえず最寄りの交番に行くか、わかるんやったらナビで確認しながら行こう」
僕は二人を宥めながら、口を開いた。二人とも頑固だからどちらも譲らないのは知っている。
「交番なんか行く必要ないわ。とりあえず……ナビ確認しながらゆっくり行くわ。まだ笹倉大丈夫やろ?」
高井はそう言うと、テレビからナビに変えて、目的地を入力して再び発進した。この四人だと幸先不安だ。
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