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彼の名前は白川 武(しらかわ たけし) 幼い頃に母親を亡くし、優しかった父親も去年の春に脳卒中で倒れ4ヶ月後に亡くなった。 自分も妹も自立してお互い独り暮らしだが、職場も近いし妹に何かあったらすぐに駆けつけれるようにと 隣町に住所を移した。   武は忘れていたため息を肺の奥からフーッと吐いた。 「なんだか今日はいつもより人が多くて…」 「そうね。近所のお年寄りも 涼みに来てたみたいだし」 「冷房効いてるのに熱気でクラクラするよ」 「倒れないようにしっかりご飯食べてきてくださいね! 今日は1人で昼食ですか?」 「いや、今日は妹と待ち合わせてるんだ」 「そうですか。妹さんと仲が良いんですね!では、行ってらっしゃい」 同じ歳の女性職員に軽く頭を下げて、丁度手続きに来た人から用紙を受け取ったのを見届けて役場から出た。
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