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「軍服を貰った者は、今から配るはさみで髪を切ろ。切った髪は封筒にしまえ!」
召集所は若者でごった返していた。
整理する兵隊達が走り回り、騒がしい所だと感じた。
「念のためとはいえ、自分の遺髪をあらかじめ切るのは、嫌なもんですねぇ。」
喋り掛けてきたのは、小柄で若々しい青年だった。まだ、十代を思わせる顔立ちだ。
「まぁねぇ、砲弾に当たったら、誰かわからないくらいに吹き飛びますからね…」
「ハァ…嫌な事ですわ…」
そんな会話の後に
軽い自己紹介をした。
彼の名は前田勇次という。
年齢は顔に似合わず私と同じ歳の28歳だと聞き驚いた。
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