猫と彼と私

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ミーミー、という子猫の鳴き声で私は目が覚めた。 黒い子猫は窓際に置かれたかごに入れられていた。 かごの中をくるくる回るように落ち着きのない子猫を、彼はじっと見つめていた。 手には白いスケッチブックと鉛筆を持って。 私が起きた事など気付いていないのだろう。 穴があく程に、黒い子猫を見つめていた。 私は目覚めたばかりのぼーっとする頭で、彼の真剣な横顔を眺めていた。 彼のあの視線を独占できたら、どんなにいいだろうか。 私はいつも考えている。
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