第三話 四章

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   愛美さんが、緩やかな表情を見せて、やんわりと話し出す。 「私、もう二度とサヤちゃんに会わないと、決めていたの。だから、最後の時間と思って、あの後に話しが出来て嬉しかった」 俺が見て、感じていた愛美さんの感情は、思っていたのとは違っていた。そんな、薄っぺらい思いじゃなかったんだ。 本気で、純粋に、ただただサヤちゃんが好きだったんだ。そして、断られた時点で全て諦めていたんだ。 土井の言葉は、彼女を変えたのか。 それとも、諦めをより強めさせたのか。 「私、サヤちゃんと友達しながら、サヤちゃんの気持ちが変わるの、待ってみようと思う」 「どうして……」 「土井さんが、思い出させてくれたから。サヤちゃんを、本当に好きだって気持ち」 まさか、話しが始めに戻ったりしないだろうが、友達しながらって辺りに引っ掛かりを感じる。 どうする気なんだろう。 「でも、別に迫ったり変な事はしない。ただ、サヤちゃんが、私を好きになってくれるの、待ってみるだけ」 「それで」 「それだけ」 もう、大丈夫だ。彼女は無茶な事はしないだろう。 秘めたる恋。それを選んだんだな。 顔立ちも、何だかすっきりしたように見える。これは、読み違ってはいないと思う。 「それに、私は土井さんより、一歩リードしてるって思ったから、頑張れそうだし」 「リードって」
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