第一話 一章 ラーメンライス

9/14
前へ
/430ページ
次へ
   カクテルの定義についてはバーテンダーによって、多少の考え方の違いもあるだろう。  ただ大前提として、複数の素材を混ぜ合わせる事は外さないだろう。  俺も同じように考える。  つまり、アルコールが混入されずとも、複数の素材を混ぜ合わせればカクテルと呼んでいいと思っている。 「お酒じゃなくても、カクテルなんですね。それに、これ美味しい」 「だろ、これだって立派なカクテルだよ」  極端な事を言えば、水割りだってカクテルだ。ウイスキーや焼酎と、水のカクテルって考え方も出来るだろう。  そんな俺の話しを聞きながら、彼女はカクテルを味わっている。 「飲み終わったら、俺に言ってね。次は、俺が愛のカクテルを作るから」 「はぁ……」  リアクションに困るよな。  しかし、この子に段々と興味が沸いてきたので、その愛のカクテルとやらを作らせることにして、時間稼ぎしつつ話しを聞こうとした。  土井の作ったカクテルは、見た目がカシスソーダそっくり…… 「土井、それなんだ?」 「何って、カシスソーダっすけど。やべっ酒入ってた」 「すぐに作り直せ」 「はい」  俺達のやり取りを見て、彼女が笑い出す。 「おっかしい。コントみたい」    
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1159人が本棚に入れています
本棚に追加