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笑顔になると、年相応の幼さが現れた。
17歳はやっぱり、少女の範囲内からは出ないんだよな。
「コントは酷いな、俺は芸人じゃなくてバーテンだぜ」
「ごめんなさい。でも、面白かった」
「まあ、いいや。そういえば17歳だったら、高校生だろ。学校は何高?」
彼女の表情が、一気に曇り出す。
俺自身、高校はギリギリで卒業したタイプだし、学校で嫌な事でもあったのか。
それとも、不登校か。
「私、学校クビになったの」
絞り出すように出した声は、高校を辞めた事情がよっぽどだったと物語っている。
土井が、彼女の言葉に反応した。
土井も高校を中退しているから、それで反応したんだろう。
「私、北高に行ってたの」
北高っていったら、この辺りでは有名な進学校で校則も厳しくて有名な学校だ。
何か校則違反をしたって、簡単には退学はさせないだろう。そんなに悪い子には、見えないんだが……
「嫌な事を聞いちゃったな。この話しは、これで終わりにしような」
「ううん、聞いてください」
「俺も聞くよ。俺も中退だし、ってか俺は自分で辞めたんだけどな」
土井の笑顔が、彼女の口をゆっくりと開かせていく。それが、こいつの特技だ。
悩んでいる人間に笑顔で話しかけ、無意識な部分を引き出してしまう。
これだけは、尊敬というか認めている部分だ。
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