1159人が本棚に入れています
本棚に追加
土井のマジックにかかったのか、彼女はゆっくり語りだす。
「学校の先生と付き合ってたの。ある時、校舎の影で先生とキスしている時に、写真を撮られて全校にばら撒かれちゃって……」
「そりゃ、酷ぇな」
教師と生徒の恋愛なんて珍しい事じゃないが、写真の話しはかなり酷い。
「しかもそれ、その先生が仕組んでたの。私と別れる為に。ただ全校にばら撒かれるのは、計算外だったみたいで奴もクビになったけど」
最後の方は、他人事のようにさらっと言った。彼女なりに、気持ちの整理が出来てる部分と、出来てない部分がありそうだ。
続いて土井が、自分が中退した時の話しを始める。
話しの重みはかなり違っていたが、卒業できた人間には分からない気持ちがあるのだろう。
「私ね、常に彼氏がいないと駄目なんです。それも、年上じゃないと……」
「じゃあ先生と別れて、すぐに彼氏が出来たんだ」
「合コンで知り合った7個上の、医大生なんです。勉強が大変みたいで、中々会えないんですけど」
教師といい医大生といい、5歳は軽く離れている。
ファザコン、そんな言葉が頭に浮かぶ。
「年下は駄目なのか?」
「同年代や、年下の男ってガキで。ガツガツしてるし、我が儘だし良い所なんてひとつもないなぁ」
「そりゃ、酷い言われようだ」
最初のコメントを投稿しよう!