第一話 一章 ラーメンライス

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    この隙に、一番気になっていた事を聞いてみることにした。  それも年上好きや彼氏などと、関係しているとは予想が出来たけど、聞かずにはいられない。 「縁ちゃん。どうしてショットバーで、一人で飲もうと思ったんだ?」 「大人になりたくて……」 「大人に?」  彼女と付き合ってきた男達は、別れる時に必ず彼女の幼児性をなじったと言う。  もっと話しの分かる大人の女がいいとか、甘えられるだけだと飽きる等、聞いていると酷い話しだ。  これなら年上でも嫌いになりそうなモノだが、甘えたがりが年上を崇拝させるのだろうか。 「今の彼、薫くんって言うんですけど、今度は子供っぽいって思われないようにしたいんです」 「大人の勉強の為に、ショットバーに?」 「だって、かっこいいじゃないですか。カウンターで一人でカクテルを飲むなんて」  かなり偏った、大人の女像が出来上がっている。  どこから知った情報なんだろうか。  確かに酒を飲む場には、子供では知り得ない大人の世界はある。  ただし縁ちゃんの思うような、かっこいい世界だけではない汚くずるい世界や、危険な世界だって数多く存在する。  それを知ったら、また傷つくんだろうな。  
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