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電話していた土井が戻ってきた。
目が輝いているから、相手は女だろう。
「風見さん。美智瑠ちゃんが1時間位したら、来るって電話で言ってました」
「一人でか?」
「いや、何か新しい彼氏が出来たとかで紹介しに来るって」
「じゃあ、二人だな」
そんなやり取りを、夢見心地な顔で縁ちゃんが見ていた。
おそらく自分の彼氏と一緒に、この店に来ることを想像しているのだろう。
「縁ちゃん、今度は彼氏を連れてきなよ」
「いいんですか?」
「縁ちゃんに、酒を出さなくていいならな。それでも、大人のデート気分は味わえるだろ?」
「はい、絶対に連れてきますね」
理想のデートとか憧れのシチュエーション、夢のサプライズなんて恋愛の想像に、心をトキメかせるなんて俺が17の時にしただろうか。
きっと、しなかっただろう。
だから縁ちゃんが同年代や、年下が子供だと言うんだろうな。
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