1159人が本棚に入れています
本棚に追加
17歳の少女と、カウンターを挟んで1時間近くが過ぎた。
彼女の口から出てくる話しは、かなりドラマチックで考えさせられる事も多い。
教師との恋愛の末に退学。
両親の状態。
年上好きの理由。
どこにでもありそうだが、身近ではあまり聞かない類いの話しは非常に興味をそそる。
「そういえば、縁ちゃん。腹減ってない?」
「お腹すきました。でもショットバーって、おつまみしか無いんじゃないですか?」
またも、微妙な意見が飛び出した。
しかも、一度メニューをしっかり見てのコメントだけに、どうしていいか分からなくなる。
土井が再度メニューを広げて、縁ちゃんにフードメニューの説明をしだした。
「じゃあ、シーフードピザと、シーフードサラダを下さい」
「両方とも、シーフードでいいの?」
「はい、シーフード大好きなんで」
別に構わないのだが、この子が言うと不思議とおかしく感じた。もしかしたら、天然なのかもしれない。
土井が調理の為に、厨房へ引っ込むと聞きもしないのに、彼氏とのなれ初めを話し始める。
「今の彼氏は、合コンで知り合ったって言いましたよね」
「医大生とかって言ってたね」
「はい、凄く頭が良くて、いい人なんですよ」
そう語った縁ちゃんの目は、大好きな彼氏の事を聞いてもらえる喜びで輝きを放っている。
最初のコメントを投稿しよう!