第一話 二章

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   縁ちゃんは今、南口にある映画館やボーリング場が入った、総合アミューズメントビルの地下にある、ゲームセンターでバイトをしている。  学校を退学になり、両親と離れて暮らしているから時間潰しに始めたそうだ。  1ヶ月前。  縁ちゃんが元気ないのでバイト仲間の女の子が、4対4の合コンを開いてくれ、その時に会ったのが今の彼氏らしい。 「ノリの悪い私なんて、誰も相手にしてくれなかったけど、その時に薫くんが話しかけてくれたんです」 「いい人なんだ」 「はい、優しくて思いやりがあって、落ち込んでいた私を励ましてくれたんです。2度目に会ったときにコクられて、付き合うことにしたんです」  その時の様子を思い出すように、現実と思い出の中間で語っている。  乙女心が滲み出て、キラキラと輝きが溢れ出して見える。  余程その彼が好きなんだろう。 「でもさ、会って2回目で付き合うって、早くないかな?」 「そうですか? 普通だと思うんですけど」 「そんな、もんなんだ」  軽くジェネレーションギャップを感じた。若い頃にやんちゃした俺でも、ある程度は相手を知ってから付き合ってた。  20歳の年齢のギャップは、それ程なのか。  それとも、縁ちゃんだけが特別なのか。 「付き合う事になって、普段は忙しいのに私の為に3日も時間を作ってくれて、一緒にいろんな所に行ってくれたんです」  
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